相場分析

7/8の日経平均と日本株市場

Contents

第1章:【市場概況】日経平均は1400円超の急落で大台割れ、安値引けの背景

2026年7月8日の東京株式市場は、リスク回避の売りが大きく膨らむ全面安の展開となりました。日経平均株価は大幅に3日続落し、終値は前日比1,437.91円安の66,819.05円と、心理的節目であった6万7,000円の大台を割り込みました。

この日は朝方から売りが先行し、一時は押し目買いや買い戻しによってプラス圏に浮上する場面もあったものの、市場の地合いは極めて重く、引けにかけて一段安となりました。最終的にはこの日の最安値で取引を終える「安値引け」となり、市場の売り圧力の強さを印象付ける形となっています。

終値ベースで史上最高値を更新した6月25日の72,366.34円と比較すると、わずか2週間足らずでおよそ8%安い水準まで調整が進んだことになります。これまで日本株の上昇を牽引してきた強いトレンドが、明確な曲がり角を迎えている可能性を示唆しています。

第2章:【半導体株の調整】米ハイテク株安の波及と主力銘柄の動向

今回の急落の直接的な引き金となったのは、前日の米国市場におけるハイテク・半導体関連株の下落です。主要な半導体株で構成される指数が軟調となった流れを引き継ぎ、東京市場でも東京エレクトロンをはじめとする主力半導体関連銘柄に利益確定やリスク回避の売りが相次ぎました。

また、直近で市場の物色テーマとして大きな注目を集めていたキオクシアホールディングスの株価も、6月22日の高値圏からおよそ30%値下がりするなど調整色が強まっています。

市場の転換点:
これまで「半導体一本足打法」とも言える形で指数を押し上げてきた主力セクターですが、米国の利下げ見通しやハイテク大手の割高感懸念を背景に、世界的な資金の再配置(リローテーション)が起きている模様です。目先はこれらの主力株がどこで下げ止まるかが市場全体の焦点となります。

第3章:【地政学リスク】中東情勢の緊迫化が投資家心理に与えた影響

市場の重荷となったもう一つの決定的な要因が、再び緊迫化している中東の地政学リスクです。前日に米国がホルムズ海峡において、イランによる商船攻撃への報復として空爆を実施したとの報道が伝わり、地政学的な緊張が一気に高まりました。

この報道を受けて、投資家の間では「有事のドル買い」が意識されるとともに、原油価格の先行き不透明感が高まりました。エネルギー価格の上昇は、国内のインフレ圧力を一段と強め、企業のコスト負担増につながるリスクがあります。

マクロ環境の先行きに不透明感が漂う中、機関投資家や海外投資家を中心に一斉に買い手控えムードが広がり、下値を支える動きが限定的となったことが午後の売り加速につながりました。

第4章:【主要指標データ】TOPIX・グロース市場・プライム売買代金

7月8日の東京市場における主要な指標および売買動向は以下の通りです。主力株の下げが目立ったものの、中小型株やグロース市場も軒並み連れ安する形となりました。

指標・項目当日の値前日比(騰落)
日経平均株価66,819.05円-1,437.91円(-2.11%)
TOPIX4,006.43-55.83(-1.37%)
東証グロース250指数711.43-19.20(-2.63%)
東証プライム売買高23億6,115万株(概算)
東証プライム売買代金11兆1,412億円(概算)
値上がり / 値下がり銘柄数564 銘柄 / 960 銘柄値下がりが全体の6割強

東証プライムの売買代金は11兆1,412億円と非常に高い水準を記録しましたが、これは買いが活発だったわけではなく、売り急ぐ動きに伴う「投げ売り」のボリュームが膨らんだことを意味しています。売買代金上位の主力株はほぼ全面安の展開となりました。

第5章:【為替・債券】162円台半ばのドル円と国内金利上昇の構図

マクロ金融市場でも神経質な動きが目立ちました。為替市場では、前述の中東地政学リスクに伴う「有事のドル買い」が優勢となり、ドル円は一時1ドル=162.46円までドル高・円安が進む場面がありました。その後、米軍の空爆完了報道を受けて162.22円前後まで下押すなど上下したものの、大引け時点では162.30円近辺の円安水準を維持しています。

一方、国内の債券市場では、前日の米国債券相場の下落(金利上昇)の流れを引き継いだほか、原油高によるインフレ懸念が意識され、債券先物が3営業日続落。これに伴い、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは前日比0.030%上昇の2.870%まで上昇しました。

円安や金利上昇は本来、特定のセクター(輸出株や銀行株)にとってプラス要因となる局面もありますが、この日は市場全体のリスクオフムードが勝り、下支え効果は限定的でした。

第6章:【今後の展望】下値目処とテクニカル面から見る投資戦略

急激なスピードで調整が進む日本株市場ですが、ここからの下値目処と投資スタンスをどう捉えるべきでしょうか。テクニカル面およびファンダメンタルズの視点からポイントを解説します。

1. 25日移動平均線との乖離と下値サポート

史上最高値(72,366円)からの値幅調整が進んだことで、日足ベースでの過熱感は急速に冷まされています。まずは、主要なサポートラインである25日移動平均線近辺での攻防や、節目となる6万5,000円〜6万6,000円水準で売り圧力が一巡し、下げ止まりの兆候(日足での下ひげ形成など)が出るかを見極める必要があります。

2. 外部環境の沈静化待ち

今回の下落は日本株固有の要因というよりも、米国のハイテク株安と中東情勢という外部要因がメインです。特に地政学リスクは予測が難しいため、ボラティリティ(価格変動)が doctrinal に高まっている間は、レバレッジポジションを縮小し、キャッシュ比率を高めに維持するリスク管理が求められます。

3. 物色対象の精査(押し目買いの好機)

業績見通しが良好であるにもかかわらず、全体の地合い悪化に巻き込まれて連れ安している優良銘柄(内需セクターやディフェンシブ、あるいは好決算を控えた銘柄)にとっては、中長期的な絶好の押し目買いチャンスとなる可能性があります。パニック売りに惑わされず、個別のファンダメンタルズを精査する局面と言えます。

まとめ:転換期を迎えた日本株市場への向き合い方

7月8日の日本株市場は、日経平均が1,400円を超える急落となり、これまでの右肩上がりの上昇相場から、本格的な日柄・値幅調整のフェーズへと移行したことを強く印象付けました。

【本日の重要ポイントまとめ】

  • 日経平均は3日続落、66,819.05円(1437.91円安)の安値引け。
  • 米半導体株安を背景に、東京エレクトロンやキオクシア等のハイテク株が大きく調整。
  • 米軍のイラン報復空爆などの地政学リスクが投資家心理を冷却。
  • ドル円は162円台半ばの円安維持、長期金利は2.870%へ上昇。

短期的にはボラティリティの高い神経質な展開が予想されるため、焦ってリバウンドを狙うのではなく、市場が落ち着きを取り戻すのを待つのが賢明です。一方で、相場全体の急落によってバリュエーション(投資尺度)に割安感が出てきた銘柄をリストアップし、次の上昇トレンドに向けた準備を進めていきましょう。

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